上宿和賀神楽は、宮城県遠田郡桶谷の山伏から南笹間(花巻市)の万法院に伝えられ、
万法院から村崎野や飯豊・煤孫に伝わり、さらに村崎野から二子と更木に伝えられたとされています。
万法院・妙泉院(二子八幡神社)村崎野の妙法院(天照御祖神社)、更木の大福院(新山神社)、
煤孫の貴徳院(古館神社・煤孫寺)、自性院(江釣子神社)、岩崎の伍大院(二前神社)などで山伏たちのもとで踊られ、
「和賀山伏神楽」「和賀神楽」「権現神楽」とも呼ばれていた神楽です。
【演目の紹介】
庭静(にわしずめ)
庭静めとは、國常立尊が主尊であり、本地仏が小比叡権現であるとされています。
舞は天の岩戸の前を清め、浄化するための舞い踊りとされています。
出で立ち姿は、面を付け、鳥兜をかぶり、扇と錫杖を持って、常衣に袴姿で舞う一人舞です。
魔王(まおう)
魔王の舞は、“山の神舞”ともいわれ、本地仏を天鼓雷音とする降伏金剛夜叉明王の舞とされてます。
この明王は、イザナギ・イザナミの二神の御子とされ、海神や水神・風神・火神と共に兄弟神とされます。
悪魔を降伏させて衆生を繁栄に導く神とされることから、この舞は悪魔を祓い人々に繁栄をもたらす祈祷舞とされています。
眼を怒らし歯をむき出した仮面をつけ、ザイを被り常衣に袴姿で帯刀しての一人舞です。
七ツ釜(ななつがま)
七ツ釜とは、神代七代の姿を表現したもので天地万物を創造する神々とされます。すなわち天体・水体・五穀・夫婦を司り、国土、草木、人間、衆生とあらゆる動植物を生成した七神とされ、これら神々の和やかな舞とされます。直面に鳥兜を被り、常衣に袴を着け白足袋姿で七人で舞いますが二人あるいは四人で舞う場合もあります。手には扇と錫杖をもちます。
王之目(おうのめ)
王之目とは内宮や外宮を造営し、立ち初めをする場合に行われる祈祷舞です。第七王子、イザナギ、イザナミの二神。本地仏は、毘盧遮那仏・白山大権現とされます。阿吽の面を付け鳥甲・常衣・袴という装束で、二人舞われます。