仏像の種類
仏教は紀元前5世紀に、北インドで生まれたシャカ族の王子ゴータマ・シッダールタは29歳で出家し、修行を積んで35歳で覚りを開き、ゴーマ・ブッダ(仏陀)になりました。 仏像は、本来この仏陀を表した像の事を言いますが、仏像が製作されるようになったのは、仏陀が入滅してから遥か先の紀元前1世紀半ば頃と言われています。
位の高い方から、如来(にょらい)、菩薩(ぼさつ)、明王(みょうおう)、天(てん)、その他になります。
※但し、明王、天は密教系にみられる順位です。
如来(にょらい)
サンスクリット語で「真実から来た者」と言う意味の言葉の和訳が『如来』です。
最高の境地に達した存在で、最高の位にあります。単に「如来」とは釈迦の異名です。
仏教界で「修行完成者」「完全な人格者」を意味します。「如」は真理・ありのままを表し、「来」は文字のとおり「来る」の意味です。ちなみに、「ほとけ」と同じ意味にあたります。サンスクリット語の「ブッダ」という音を中国で「仏陀」という漢字に写し、これが省略されて「仏(ぶつ・ほとけ)」という言葉になりました。ブッダとは「悟りを開いた人」という意味です。
- 釈迦如来(しゃかにょらい)
- 阿弥陀如来(あみだにょらい)
- 薬師如来(やくしにょらい)
- 大日如来(だいにちにょらい)
- 毘盧舎那仏(びるしゃなぶつ)
菩薩(ぼさつ)
次期如来候補。
サンスクリット語で「悟りを求めるもの」という意味の菩提薩(ぼだいさつ)を略して、菩薩といいます。菩薩は仏陀となることを目標に修行に励んでいると共に、仏の慈悲行を実践し衆生を救おうとします。 菩薩の修行は、施しを与える、戒律を守る、何事にも耐える、努力する、真理を見極める為智慧を磨く、仏事の本質を見抜く、の6つです。これを六波羅蜜(ろくはらみつ)とよびます。
- 聖観音(しょうかんのん)
- 十一面観音(じゅういちめんかんのん)
- 弥勒菩薩(みろくぼさつ)
- 不空羂策観音(ふくうけんじゃくかんのん)
- 千手観音(せんじゅかんのん)
- 馬頭観音(ばとうかんのん)
- 如意輪観音(にょいりんかんのん)
- 文殊菩薩(もんじゅぼさつ)
- 普賢菩薩(ふげんぼさつ)
- 虚空蔵菩薩(こくうぞうぼさつ)
- 地蔵菩薩(じぞうぼさつ)
- 勢至菩薩(せいしぼさつ)
明王(みょうおう)
密教では真言(ヒンズー教でいう祈祷の呪文)を唱えると、種々の祈願が 成就するという信仰があります(真言宗の名はここから始まります)。 そしてその力の最も絶大なるものを明王と言います。 その多くは、ヒンズー教の尊像の表現を源としています。 明王の『明』はサンスクリット語でヴィドヤーラージャの訳で神秘的な力を持つ言葉や呪文(真言)のことを意味します。この真言の力を身につけている「持明者」達の王を「明王」と呼びます。
明王の役割は如来の教えに従わない救いがたい衆生を恐ろしい姿で威嚇、屈服、救済する為に如来の命を受けて力づくで仏の教えを導こうとします。その姿は恐ろしい外貌と激しい忿怒(ふんぬ)の相をしています。
孔雀明王を除いて、髪を逆立てた焔髪(えんぱつ)、忿怒相(ふんぬそう)です。
上半身は裸で、条帛(じょうはく)を肩からかけ、下半身は裳(も)/裙(すそ)をつけ体には瓔珞(ようらく)、臂釧(ひせん)、腕釧(わんせん)などを身につけます。背中に、煩悩を焼き尽くす燃えさかる火炎を光背に用います。また、顔はいくつも持ち(多面)、眼の数が多く(多眼)、手も足も何本もある(多臂多足/たひたそく)のが特徴です。様々な武器を手にしているのも特徴で、この持物(じぶつ)により仏像を見分けることも可能です。
如来や菩薩の「静」に対して、明王は「動」の仏です。
≪主な明王≫
- 不動明王(ふどうみょうおう)
- 降三世明王(ごうざんぜみょうおう)
- 軍荼利明王(ぐんだりみょうおう)
- 大威徳明王(だいいとくみょうおう)
- 金剛夜叉明王(こんごうやしゃみょうおう)
- 孔雀明王(くじゃくみょうおう)
- 愛染明王(あいぜんみょうおう
天(てん)
天は天空や天上世界、あと、天上界に住まう者も意味する言葉です。諸天は仏法を守護するという役割を持っています。また、天部に属する諸尊のほとんどがバラモン教やヒンズー教などの異教の神で仏教が「仏教に帰依した神々」として取り込んで生み出された仏です。如来、菩薩、明王が衆生(人間や諸々の生き物)を救済するのが目的なのに対し、天は仏法を守護する役割があります。
仏法守護の観点から、如来や菩薩の脇侍(きょうじ)、あるいは眷属(けんぞく)として、本尊の脇や周囲に安置されることが多いです。
大きく特徴を分けると、甲冑(かっちゅう)に身を固めた武人像、女性の姿をした天女像、 怪異な形相の鬼神像の三つに分けられます。
- 天女像・・・天女形で女性的で菩薩のような表情をするか、中国風の衣服をまとった貴族風の姿をしています。
- 武人像・・・神将形で外敵から身を守るために忿怒相(ふんぬそう)をして、甲冑(かっちゅう)を身につけ、武器を手にするのが一般的です。
- 鬼神像・・・鳥や象の頭を持つ像など、非人間的な姿を特徴としています。
≪主な天≫
- 梵天(ぼんてん)、
- 帝釈天(たいしゃくてん)
- 金剛力士(こんごうりきし)/執金剛神(しゅこんごうしん)
- 四天王(してんのう)、
- 毘沙門天(びしゃもんてん)
- 八部衆(はちぶしゅう)
- 十二神将(じゅうにしんしょう)
- 二十発部衆(にじゅうはちぶしゅう)
- 吉祥天(きっしょうてん)、
- 弁才天(弁財天、べんざいてん)、
- 訶梨帝母(かりていも)/鬼子母神(きしもじん)
- 大黒天(だいこくてん)
- 閻魔王(えんまおう)/十王(じゅうおう)
その他
彫像や肖像が多いです。
- 羅漢(らかん)
- 祖師(そし)
- 天邪鬼(あまのじゃく) など。