- 岩手県北上市相去町の、北上ハイテクペーパー 株式会社 の紹介です。
ものづくり観光パンフレット(2014年版)より~会社概要
- 岩手県の広葉樹から作られる家庭紙、写真用原紙の工場を見学
岩手県産の広葉樹から、「ナクレ」 でおなじみのティッシュペーパー・トイレットペーパーと、世界中で使用されている写真用紙のベースとなる紙を作っています。操業を開始した1965年(昭和40年)以来、岩手県の森林と共存しながら、生産活動を行って来ました。これからも当事業本部は、岩手県の森林資源を適切に維持管理しながら、生産活動を続けて行きます。
【見学対象者】
小学3年生以上 (40名まで。20名以上の場合は2班に分かれて見学いただきます)
※工場内部は撮影禁止です。
【見学日時】
月曜日~金曜日(祝日、会社休日を除く)
10:00~12:00、13:00~16:00
【所要時間】
60分~90分
【見学予約】
1ヶ月前までにお申込み下さい。
【駐車場】
バス1台
スタッフによる工場見学レポート(2010年6月29日(火)訪問)
会社紹介
北上ハイテクペーパーは、2005年(平成17年) に三菱製紙から分社・独立しました。
創業以来岩手県内の森を中心に、広葉樹で国産パルプを作っています。
広葉樹は、萌芽更新(ほうがこうしん)で森林が再生され、永続的な資源として活用されています。
広葉樹を年間36万m3使用するそうです。
その85%は、岩手県産であり、広葉樹使用量40万m3の約80%に相当します。
※イメージ画像です
この国産パルプ100%を原料とし、家庭紙と銀塩用写真印画紙・インクジェット用写真用紙・熱転写用写真用紙等の写真プリントのベースペーパーを生産しています。
写真印画用レジンコート紙の生産、販売するのは、≪北上ハイテクペーパー≫と独国S社の2社のみです。
プリント用に加工された製品は世界各地で使用されています。
また、北上ハイテクぺーパーの顔、 『ナクレ』 ブランドは、1997年(平成9年)に生産開始しました。東北でしか出会えない 『ナクレ』 です。
発見ポイント
●従業員は、180名余です。
●敷地面積の大きさに驚愕でした。約33万m2あり、実に東京ドームの7ヶ分に相当します。敷地内に六原駅からの引き込み線があることにも驚きました。
南部工業団地から北上ハイテクペーパーを臨む
●関連会社の北菱興業は、製品の仕上げと家庭紙生産、北菱林産は、原木・チップの調達(山ごと買付け)、チップの生産、MPEC (三菱製紙エンジニアリング) は、設計、設備の保守・修理をそれぞれ担っています。
●紙づくりは、大量の水を使用します。その為、北上川の取水権を得て使用しているそうです。
いわて地球環境にやさしい事業所
岩手県による、地球環境に配慮した取組みを積極的に行っている事業所を 「いわて地球環境にやさしい事業所」 として認定する制度のことで、2006年(平成18年) に認定書を受けました。
●制度の内容
地球温暖化を防止するための施策の推進を図るため、二酸化炭素排出の抑制のための措置を積極的に講じている事業所を認定し、広く県民に紹介することにより、地球温暖化対策の積極的な取組みを広げていくことを目的としています。
また、岩手県内の同じ木材を使い続けることが、高品質を維持すること に繋がっています。
ロビーには、環境に配慮している証が数々ありました。
プレゼンして頂いている様子
パルプ化工程を知る
1. 山から切り出された原木、約250千トン/年を皮むきし細断します。
**皮(バークといいます)約25千トン/年 は蒸気や電力で再利用されます。
2. 皮を剥いだ木はチップにされます。 約225千トン/年
3. そのチップを蒸解します。その際生じた黒液、95千トン/年 は同じく蒸気や電力に再利用されます。
4. 出来上がった茶色いパルプを漂白します。
漂白したパルプ130千トン/年 は、晒(さらし)パルプとして30千トン/年 出荷、残り100千トン/年 は紙の生産工程に廻します。
チップ>>>未晒バルブ>>>漂白したバルブ
抄紙(しょうし)工程を知る
抄紙工程では、抄紙機を使い、紙料を1%程度に水で薄めたものを原料に、次の工程で紙を抄(す)きます。
1. ワイヤーパート
漂白済みのパルプを使い、紙を抄きます。紙料を、網(ワイヤー)の上に流して薄く平(たいら)にすることで、湿紙を作ります。この工程で水分が重力によって脱落し、紙料の水分は99%(濃度1%)だったのが、湿紙では80%程度になります。
2. プレスパート
湿紙にフェルト(毛布)を当てて上下から圧縮することで、水分を搾り取ります。
この工程で、湿紙の水分は55%程度になります。
3. ドライヤーパート
湿紙を加温して水分を蒸発させ、水分が8%程度になるまで乾燥させます。
4. 仕上げ
リールによる巻き取りをします。厚さ1000分の50ミリ、幅、約3mほどに加工された原紙が、1分間に700m、1時間で42km巻き取られます。
古紙を生産しない理由
古紙を生産するには、原料である古紙を水に溶解し、機械的な力や薬品を利用して紙繊維以外の異物(金属やフィルム、粘着性樹脂、印刷インキ、コピートナーなど)を分離・除去します。
さらに用途に応じて白さを高めるよう漂白処理を加え、脱水・乾燥し紙原料の古紙パルプとなります。
古紙の回収量や古紙の種類によってその供給能力や品質・利用用途・価格などが大きく左右され、再処理の過程で環境的な負荷を避けることができません。その為、環境への配慮から、北上ハイテクペーパーは、古紙の生産を行っていないそうです。
ナクレ製品の工程を知る
『ナクレ』 とは、仏語で「真珠のような光沢の」という意味です。
ナクレ製品の製造現場を見学させて頂きました。
先ずは、工場内に入る前にチェックポイント。 虫対策のため、外ドアと中ドアは同時に開くことはできず、虫が飛びこんでしまっても殺虫電灯が退治してくれます。
抄紙工程にて生産された原紙は、3等分にカットし、凹凸をつけて柔軟加工します。
また、ティッシュペーパーは、水に溶けにくくし、トイレットペーパーは水に溶けやすく加工します。
●箱ティッシュペーパー
紙を交互に重ね、箱から取り出した際、次の紙が出てくるようにします。
200組になると自動搬送され、次のラインで4等分されます。
箱の横からティッシュペーパーが挿入され、金属探知機で検査したのち、5箱揃えてパッキングします。その後大箱に梱包し、ラベリングして出荷されます。
箱のデザインは、ナクレオリジナルの他、ジャパン・ブルーや企業広告を載せたデザインなどで溢れていました。
●トイレットペーパー
シングル仕様、ダブル仕様、別ラインです。
紙幅と同じ長さの芯に65m巻き取り、25等分にカットします。外装包装され、同じく大箱に梱包後、出荷されます。
ナクレ製品~北上ハイテクペーパーHPより出典
質疑応答
●Q1: 今まで地域イベントに参加されたことはございますか?
地域の清掃活動の参加、自社の体育館を一般開放、近隣の小・中学校の工場見学受け入れ、工業匠祭で紙のつくり方、製造工程の発表、などです。
●Q2: この会社の魅力、スゴイ所をズバリ!
地産地消を行っています。当製品は、地元の材料で地元で作り、地元に売り、地元に愛されています。岩手の森から生まれた地域ブランド、インクジェット用高級写真用紙 「銀河の森」 を発売しています。
銀河の森
●Q3: この会社に就職した場合の待遇、メリットを教えて下さい。
福利厚生が充実しています。過酷な労働条件でもなく、労働組合もあります。
また、現場作業は24時間3交替制なので、深夜手当が付きますし、給料面での待遇はいいと思います。
●Q4: 2010年の新卒の雇用は何人ですか?
大卒で1名です。近年は不況により採用はストップしておりますが、採用する学校に制限なく、県外からも採用しています。
●Q5: (新卒者に向けて)学生のうちにしておいた方がいい事はなんですか?
資格は特に必要ありませが、面接では、人柄や基礎学力があるかどうかを重要視します。
●Q6: 匠 or マイスターと呼ばれる方はおりますか?
資格は特に必要ない為、おりません。
●Q7: 岩手県内の森林とは、どのあたりなのですか?
社有林がある、一ノ関、岩泉、雫石、久慈などです。
●Q8:海外向けの製品はありますか?
写真用原紙をオランダやアメリカへ輸出しています。輸出がメインですので、円高の時が打撃を受けやすいですね。
ロビーには、北上市の民俗芸能 「鬼剣舞」 や岩手県の観光名所を紹介するパネルもあり、観光PRにも一役買っている姿に感謝致します。
観光PRパネル
自社製品の展示
お土産に 『銀河の森』 を頂きました。大切に使わせて頂きます!
●工場見学についてのお問い合わせは、下記へどうぞ。
会社名 | 北上ハイテクペーパー 株式会社 |
郵便番号 | 024-0051 |
住所 | 岩手県北上市相去町笹長根35 |
電話番号 | 0197-67-3211 |
FAX番号 | 0197-67-2365 |
HPアドレス | 北上ハイテクペーパー 株式会社 |