1 匂いやさしい白百合の
濡れているよなあの瞳
想い出すのは想い出すのは
北上河原の月の夜 ...
冬ちかみ
あらしの風も
はやちねの
山のかなたや
時雨そめけむ
麦青く
桃や桜の
旅路かな
高くちかく清く親しく
無量のあふれ流れるもの、
あたたかく時にをかしく
山口山の林間に鳴り、
北上平野の展望にとどろき、
現世の次元を突変させる。
...詩「ブランデンブルグ」より
初時雨
猿も小蓑を
ほしげ也
日は晴れて 落葉のうへを 照らしたる 光寂けし 北国にして
萩見つゝ をればそなたに 月出る
菊咲けリ 陶淵明の 菊咲けリ
しらたまの 歯にしみとほる 秋の夜の 酒はしづかに 飲むべかりけり
幾山川 こえさり行かば 寂しさの はてなむ國ぞ けふも旅ゆく
人の和の 永遠にして まどかな灯
神よ我をば何故に 日蔭の花と咲かせける 憂ひの露にぬれつゝも 一もと淋し野べの薔薇
色香もうすきひともとの 野末の薔薇の我なれば 花は盛りにあはずして 蕾ながらに朽ちはてん
運命に散るゝ花薔薇の 薄きゑにしを悲しみて さびしさ詫びる歌の音の ひくきを如何に怨みんや
夢中落花
わが戀を はじめて友に うち明けし 夜のことなど 思ひ出づる日
落つる日よ さらば消ぬべき わが魂を 雲井のきはに 導きて去れ
大黒天 うへを見るを 笑つておはす 頭巾哉 蛭子神 春の日の 油断をしめす 襷哉
百年たったら 帰っておいで 百年たてば その意味がわかる
陸奥の
かど岡山のほととぎす
稲瀬のわたし(り)
かけてなくらん